オルソケラトロジーとは

近視とオルソケラトロジー

 

オルソケラトロジーは、日中ではなく就寝中に特殊なコンタクトレンズを装用することで、角膜上皮層の中央部分を平坦化させ、強すぎる屈折力を弱め、日中の裸眼視力を改善させる視力矯正方法です。

眼に入る光は角膜と水晶体で屈折し、網膜で像が結ばれることで「映像」として認識することができます。しかし、主に角膜の屈折力が強すぎるか、あるいは眼軸長が少し長い眼では、網膜の手前で像が結ばれてしまい、ものがぼやけてしまうため、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が必要となります。これが近視です。

軽度~中等度の近視においては角膜の中央部分の屈折力を少し弱めることで、近視症状が改善されます。オルソケラトロジー(角膜矯正治療法)では、夜寝ている間に特殊なコンタクトレンズを装用することで、角膜の中心直径約3mmくらいの範囲の角膜上皮層をフラット化し、強すぎる屈折力を和らげることで、一定時間、裸眼視力の改善効果が維持されます。このため日中~終日裸眼で過ごすことが可能となります。

オルソケラトロジーの歴史

オルソケラトロジーは、1940年代にアメリカ合衆国で、円錐角膜に対する治療方法として提案されたことから始まり、1970年代から本格的に研究開発が始まりました。そして、1988年には、FDA(アメリカ食品医薬品局、日本の厚生労働省にあたる)に近視に対する矯正治療方法として認可されています。

アメリカ合衆国では120~150万人がオルソケラトロジーを取り入れており、カナダ・オーストラリア・中国・韓国などでも広まっています。日本には2000年頃に上陸し、当初は眼科学会の中で安全性について懸念する声も出ていましたが、筑波大学など国内の6つの大学がオルソケラトロジーの治験を行ったところ、当初考えられていたような「角膜内皮細胞の減少」や「重症角膜炎」などの合併症は見られず、概ね良好な結果が得られ、第21回日本眼内レンズ屈折手術学会でそれらの結果が報告されました。そして、2009年には厚生労働省により角膜矯正治療方法として認可されました。

現在は、国産のオルソレンズや外国製のレンズについても医療器具として厚生労働省で承認されたレンズも数種類に増え、取り扱っている眼科専門医による医療機関も増えてきている状況です。

 

※オルソケラトロジーの新患数(諸外国ではむしろ近視の進行する年齢層での適応が多いようです。

日本ではが厚生労働省の適応ガイドラインは20歳以上)

国名年間の新患数18歳未満の割合
中国 40,000 60%
香港 18,000 95%
台湾 35,000 95%
韓国 45,000 80%
米国 80,000